夢うつつに「なごり雪」を聞いていた。
高校から大学にかけてフォークギターを弾いていたので、ご多分に漏れず「なごり雪」もよく歌った歌だった。
目が覚めると、ラジオはもう別の曲に変わっていた。もぞもぞと布団から抜け出し、セーターを来て立ち上がる。
階段を降りる前に子ども部屋を覗いてみると、二人の子どもはまだすやすや眠っている。
ま、もう少し寝かしとくかと思いながら、とても不思議な気持ちがした。
前にあの歌を聞いた時には、子どもはもちろんいなかったし、それどころか結婚さえしていなかった。
ぼくはまだただの学生で、何のよすがもなく、フラフラと毎日を過ごしていた。
その風景と、今ここで子どもたちの寝顔を見ている自分との間には、百億光年くらいの距離がありそうだ。
もう上の子は小学6年生になろうという今でも、時折こんな不思議な気持ちにおそわれる。