2004年9月5日日曜日

ぼくのロデオドライブ


写真は、今年7月会社の研修旅行でアメリカに行ったときに、ロサンゼルスのロデオドライブ近くで撮ったものだ。

一応「上流マーケティングを学ぶ」という研修テーマに沿ったカリキュラムの一貫として、その実研修生のブランドショッピング欲を満たすために、最終日にロデオドライブを訪れたのだ。

あまりよく知らない方のために補足すると、ロデオドライブはロサンゼルスの高級住宅街であるビバリーヒルズの一角にあって、世界の高級ブランドが軒を並べる通りだ。


バスはルイ・ヴィトンの店の前でぼくたちを下ろして去って行った。これから3時間の自由行動だ。

仲間たちが嬉々としながら三々五々ブランドショップへと散って行くのを見送ると、ぼくはひとつ隣のビバリードライブに向かった。

高級ブランドのブティックなんて世界中どこへ行っても同じだ。わざわざアメリカまで来て日本で行けるお店に行ってもしようがない。というわけで、ぼくはこの時間を100%家族へのお土産を買う時間にあてることにしていた。

高級ブティックが並ぶロデオドライブをひとつはずれると、もう少し生活感のある界隈になる。ブティックもあるが、Banana RepublicとかGAPとかカジュアル系のブランドが中心だ。

ここなら少しは面白いお土産が買えるのではないかと思っていた。


まずは下の子供(男の子)にポケモングッズを。

アメリカまで来てポケモン、と思うかもしれないが、アメリカ仕様のポケモンを買って帰るところに意味があるのだ。

この界隈にも玩具屋はある。前日のうちに地図でチェック済だ。

来てみると、日本の商店街にもあるようなわりと古いタイプの玩具屋だ。こんなところにポケモングッズがあるかなあ…。

玩具屋の店内をぐるっとひと回りしてみたが、ポケモン関係のおもちゃは見つからない。

しばらく悩んだすえ、お店の若い兄ちゃんに聞いてみることにした。

(しかし待てよ。ポケモンってアメリカでは何て呼んでるんだ?)

ぼく「どぅ ゆ のー ぽけっと もんすたー?」

兄ちゃん「知らん」

(だめか、じゃあ…)

ぼく「どぅ ゆ のー ぴかちゅー?」

兄ちゃん「おー! ぴかちゅー。ぽけもん!!」

(なんだ、「ポケモン」でいいのか。がっくり)

兄ちゃんはちょっと待てと言って、店の奥からポケモンカード(もちろんアメリカ仕様)を出してきた。うーん、カードしかないの?

これしかない。

じゃそれちょうだい。

ということで、まずはアメリカ仕様のポケモンカードをゲットした。2パックで10ドルくらいだったかな。


次は奥さん用のキッチングッズだ。

家庭雑貨店は2、3軒あった。Williams Sonoma、Pottery Barn、Crate & Barrel…。

アメリカの家庭雑貨店を見て回るのはなかなか楽しい。アメリカのお店の優れたところは、カラーマーチャンダイジングが徹底していること。家庭雑貨店でも、ファブリックはもちろん多くの商品がカラーバリエーションを揃えている。それに、料理を楽しくする工夫をこらしたグッズの数々もなかなかいい。見て回っているだけでイメージが膨らんできて、幸せな気持ちになるのだ。

そういえば妻との結婚を最初にイメージしたのは、仕事の一貫で休日に彼女と家具店めぐりをしたときだった…。

しかし、肝心のお土産はなかなか決まらない。食器などもいいものがたくさんあるのだが、まさかガラス器や陶器を買って飛行機に乗るわけにもいかない。結局彩りのきれいなディッシュタオルを買うことにした。7ドルくらいだったか。


最後に上の子供(女の子)用のお土産だ。

絵を描いたり、物語を書いたりするのが大好きな彼女の希望は文房具だ。ぼくはスーパーマーケットに向かった(ビバリードライブにはスーパーマーケットもある)。妙に気取った高級品よりもアメリカ人が普通に使う文房具がいいと考えたのだ。高級品なら日本でも手に入る可能性も高い。

ただのスーパーマーケットでも、微妙に生活感の異なる商品を眺めるのはやはり楽しい。

いろいろ見ているうちに候補として残ったのは、消しゴム付の色鉛筆とノートだった。どっちも捨てがたいが、結局色鉛筆を買ってぼくは店をあとにした。やはり7ドルくらいだったと思う。


今回の研修旅行では、1週間の間にラスベガスからロサンゼルスまでいろいろな場所を訪問したが、いちばん楽しかったのはこのビバリードライブの1日だった。

ビジネスとなると、どうしてもそこには儀礼があり、演出があり、構えた態度がある。ぼくたちはそこでは訪問者にすぎなかった。

ビバリードライブには、構えない生活があった。自分で見、自分で歩き、自分で組み立てる生活があった。

3時間後、ふたたび集まった仲間たちは皆それぞれに高級ブランドの大きな紙バッグを抱えていた。彼らはたぶんビバリードライブには一歩も足を踏み入れなかっただろう。

海外研修の隠れたねらいが、その地の文化や生活に触れることであるとするなら、ロデオドライブからほんの100メートル離れたビバリードライブで、ぼくはそれに出会えたような気がした。